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傷の手当て

僕は手を怪我しているのを忘れて目を擦っていた。 だって涙が止まらなくてこんな顔を蒼大に見せれるわけがない。 「聖輝。」 目をこする手を止めて思わず下を向いてしまった。 そこには息を切らした蒼大が立っていて僕の名前を呼んだから・・・・・・。 蒼大は僕の隣に座ると腕を掴み自分の腕の中に僕を引き寄せて抱きしめてくれた。 「そ・・・蒼大。」 「聖輝、痛いのか?」 僕は抱きしめられた腕の中で首を振った。 たとえ蒼大の気持ちが僕から離れていてもこうやって触れてくれる事が嬉しくて蒼大から離れるかとが出来なかった。 「傷の手当するから聖輝。」 離れたくなくて僕は必死に蒼大に抱きついていた。 「お願い・・・離れたくない。」 「聖輝?離れなきゃ傷の手当出来ないだろ?」 蒼大は優しく僕の頭を撫でて言い聞かせるように言うがそれでも離れたらもう触れてもらえないと思いどうしても蒼大の背中に回した腕の力を緩める事が出来なかった。 「お願いだから傷の手当させてくれよ。泣いていた事も気になるから聖輝。」 「気になる?」 「気になるに決まってるだろ?好きな相手が怪我して泣いてるんだぞ。」 蒼大・・・・・。 今、なんて言ったの? 好きな相手? 「蒼大・・・・僕を好き?」 「何言ってんだよ。ずっと好きだって言ってるだろ?」 圭との事は? 圭と付き合うとかじゃないの? 「僕も蒼大が好き。」 「えっ?」 「うん?」 「いや、聖輝は俺が好きなのか?」 「へっ?どうして分かったの?」 どうして、分かったの? 「あっ・・・えっと・・・・・。」 圭との事を聞こうとしたのに僕も蒼大好きとか言っちゃってるよね。 どうしよう? どうしよう、どうしよう、恥ずかしすぎて本当に蒼大から離れるとか無理。 蒼大に今の顔を見られたら本当に恥ずかしすぎてヤバイよ。

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