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着いたよ

「聖輝君。着いたよ。」 僕は車の後部座席で眠ってしまっていた。 さっきのは夢。 思い出したくも無い僕の汚れた記憶。 「眠ってしまってすみません。」 「いいよ。俺は、自己紹介まだだよな?大地の親友で大西陽二(オオニシヨウジ)ってんだ。」 運転していたのは大地さんの親友で大西陽二さん。 僕と大地さんは陽二さんの運転する車から降りた。 「俺はこれで帰るからまたな大地と聖輝君。」 「悪かったな。また店にでも顔出すから陽二。」 分かったという様に片手を上げてクラクションを鳴らして車は走って行った。 「我が家へようこそ聖輝君。」 「ケーキ屋さん?」 「小さいけどね。下が店舗で2階が我が家だよ。前の店主から引き継いだだけなんだ。中に入ろう寒いだろ?」 まだ2月だから外は寒い。 陽も落ちてるし今日は風もかなり強いから余計に寒さを感じる。 店舗の裏口から入り2階へ上がる階段を登ると廊下を挟んで左側に畳の居間があって右側はキッチンだった。 「ヒーターつけるからコタツに入ってろよ。」 「はい。」 僕は大地さんに言われた通りにコタツに入り冷えた体を温めていた。 大地さんが居間の石油ヒーターに点火すると暫くして部屋が暖かくなり始めた。 「聖輝。何か飲むか?コーヒー、紅茶、ココアどれ?」 「ココアでお願いします。」 「了解。」 大地さんはニッコリと笑いキッチンに姿を消していった。 なんか安心するこの空間。 昔、よく遊びに行ったお爺ちゃんとお婆ちゃんの家を思い出す。 暖かくて優しい感じのする部屋。

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