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同じクラス

教室に入ると教室の中にいた生徒達が一斉に僕を見てくる。 僕はそれにビックリしてドアの前で立ち止まってしまった。 すると後ろから背中を誰かに押されて前のめりに一歩踏み出して転びそうになったのをグッと堪えた。 「あぶっ・・・ないだ・・・あれ?」 「早く入れよ。邪魔だ。」 「あっ・・・ごめん。」 「やけに素直なんだな?黒岡聖輝。」 どうして俺の名前を知ってんだよ。 「クスッ。担任に頼まれたんだよ。俺は山野悠真(やまのゆうま)よろしくな。」 「よろしく山野君。」 山野君は僕が見上げるくらいの身長がある。 多分180cm位はあるかな? 鼻筋が通っていて切れ長な二重まぶた。 目の色は色素が薄いのか光加減で茶色く見えていた。 クラスの女子は山野君を見ている。 カッコいいもんなモテそうだな山野君。 「聖輝の席は窓側の1番後ろだからな。」 「呼び捨て?」 「嫌か?」 「へっ?あっ、大丈夫。ごめん思ったことを言葉にしちゃった。」 気付いたら僕は思った事をたまに言葉にしてしまい喧嘩になったりしてしまう事もあった。 「気にするな。俺そういう奴嫌いじゃないから何かあったら俺に言えよ。俺の事は悠真でいいからな。」 悠真は僕の肩をバシッと叩いて笑った。 下足場では嫌な奴かと思ったけど凄く優しい奴かもしれないとこの時に僕は思った。 「ありがとう。悠真。」 「おうっ。」 少しだけ照れたように笑うと悠真は自分の席に歩いて行った。 その間もクラスの男子に話しかけられてゲラゲラ笑ったりしてクルクルと表情が変わる。 見て飽きないな悠真。 良かったもしかしたら僕もクラスに溶け込めるかもしれない。 前みたいに笑ったりは出来ないけど・・・・・・。 ごめんな蒼大・・・・・・。 僕の心にはいつも蒼大がいる。 苦しくて蒼大を傷つけた僕が許せないでいる。 だから僕は心の底から笑ったりしたらダメなんだ。

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