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ケーキ店 4

「悠真、これクッキーオマケな。」 「ありがとうございます。大地さん。」 「おぅ、あんまり遅くならないうちに帰れよ悠真。」 そう言って大地さんは夜に予約が入ってるケーキを作りに戻った。 悠真の手にあるクッキーは僕が教えて貰いながら作ったクッキーだった。 「悠真、そのクッキー僕が大地さんに教えて貰いながら作ったんだ。だから大地さんみたいに美味しく無いし形悪いからごめん。」 「大丈夫だよ。初めてにしては上手く作れてるじゃん。帰ってから食べるよ。また明日な聖輝。」 「また明日な蒼大・・・あっ、悠真ごめん。明日学校でな。」 僕は無意識で悠真を蒼大と呼んでしまった。 悠真は、気にするなと言って帰って行ったが僕は・・・・・。 蒼大に会いたい。 蒼大に僕が作ったクッキーを食べて貰いたい。 『美味しいよ。聖輝。』 そう言って笑って貰いたい。 叶わない僕の願い。 蒼大はシフォンケーキを作ってくれる約束してそれから・・・・・僕は・・・・・蒼大の前から姿を消したんだ。 そんな僕には蒼大に会う事も話す事も許されないんだ。

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