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修学旅行 1
「マジ置いてかれると思った。」
僕の隣で悠真がシャツをバタバタさせながら言った。
「寝坊って、昨日興奮して寝れなかったのか?悠真。」
「悪いかよ聖輝。」
ムスッと膨れて窓の外を見ている悠真。
なんか可愛くなって僕は人差し指で頬を突いてみた。
「ばっ、止めろよな!」
「なんか大輝みたいで可愛くてごめんね。悠真ちゃん。」
「はぁっ?ふざけんなよ。絶対聖輝とは喋んない。」
あっ・・・怒らせちゃった。
たまにやり過ぎて僕は悠真を怒らせてしまう。
「わかったよ。悠真。」
僕は通路側に顔を向けて目を瞑った。
実は僕も寝付けなくてあまり寝ていない目的地まで5時間かかるからそれまで僕は眠ろうと考えていた。
「これ食べる?あれ、寝てるじゃん聖輝君。うわっ、悠真機嫌悪いのかよ?もしかして痴話喧嘩?」
「うるさいんだよ。治樹(はるき)」
「せっかくの修学旅行なんだから悠真。仲良くしようぜ。」
そうだよね。
悠真と気まずいままだと楽しめないよね。
僕は目を開けて悠真の方を見ると悠真も僕の方を見ていた。
2人同時に向いたもんだから凄く近くに悠真の顔があるんだけどやっぱり間近で見るとカッコイイよな悠真。
「えっと、悪かった聖輝。」
「あっ、うん。僕もごめんね悠真。」
そんな僕らを見て治樹君がニヤニヤしていた事を知ったのは数分後の事だった。
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