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修学旅行 2日目 1

有名なお寺や神社をグループで見て回る事になっている。 もう一度注意された事 バスの1日乗車券を失くさない事。 迷惑行為をしない事。 他校の生徒も居るから喧嘩などしない事。 お昼は指定された場所に時間厳守でくる事。 後は栞に細かく記載してあるから読んできているはずだと言われた。 「細かいよな先生。そう思わなかったか?聖輝君。」 お寺の入り口に向かい砂利道を歩きながら石を蹴っている治樹君が僕に言ってきた。 「そうだね。でもバスの乗車券失くしたら困るからこれは守った方が良いかもだよ。」 「治樹が真っ先に失くしそうだな。」 僕達の会話を聞いていた悠真が治樹君に向かってニヤリと笑った。 「うわぁ〜。悠真が意地悪だわ。」 「確かに治樹なら失くしそうだよな?」 「えっ?智哉もそれを言うの?」 治樹君はなんだか弄られて可哀想に思えるけどなんだか3人共仲良しだって伝わるよ。 「聖輝。笑って無いで俺を助けてくれよ。」 「えっ?僕も治樹君は失くすかなって思っちゃった。ごめんね。」 「聖輝までそれ言うかよ。」 こんなに楽しくて良いのかな? 僕は楽しく過ごしても良い? 蒼大は今頃どうしてるかな? 皆んなと仲良くしてるのかな? お寺の建物に入ると道順に沿って歩き仏像なんかを見て回った。 展示物の部屋に入りかけると大きな声が聞こえてきた。 「蒼大!勝手に行くんじゃない。いい加減にしろよ。」 蒼大? 嘘・・・でもこの声に・・聞き覚えがある。 僕は声のする方を恐る恐る見た。 展示物の部屋の出口の通路に居たのは仲良かった懐かしい友達と1人そこから離れようとしている蒼大だった。 僕はとっさに悠真の影に隠れた。 「聖輝?どうしたんだ。」 「ごめん。悠真・・・・ごめんね。」 先に展示物の部屋に入っている治樹君と智哉君は掛け軸とかの説明を読んでいた。

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