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修学旅行 2日目 夜 1
バスの中で泣き崩れていた僕を皆んなが心配をしてくれた。
治樹君と智哉君には悠真が分かる範囲で説明をして助かった。
僕が蒼大を好きだった事は黙っていてくれた。
泣き止んでから皆んなでお土産とか買いに行ってホテルへ戻ってきた。
晩御飯までにはまだ時間があるので戻ってきたグループからお風呂に入るよう言われ僕達は、ホテルの部屋でお風呂の準備をしていた。
すると治樹君がイキナリ怒り出した。
「思い出したら腹が立ってきた。聖輝君を呼び出して数人で殴ったなんて卑怯な奴だな。」
圭が友達に頼んで僕に暴力を振るったと話したがやはり強姦されたなんて話せない。
だって、相手は男。
「確かに卑怯な奴だよ。」
智哉君も真剣に怒ってくれていた。
「でもさ、明日もグループ行動するからアイツらに会わないようにしないとな悠真。」
「そうだな。」
悠真はさっきから僕の方を見ては僕が見ると視線を外す。
バスの後部座席で僕と一緒に蒼大を見ていたからなのか何か言いたそうにしていたのだ。
それに、圭がまだ蒼大が僕を好きだと言ったからそれを聞きたいんだろうか?
悠真は男が好きな僕を気持ち悪いと思ったかな?
一緒にお風呂はいるのは嫌かな?
「僕、少し疲れたからお風呂はもう少し後にする。」
悠真が用意していた荷物を床にバサバサと落とした。
やっぱり、僕が気持ち悪いんだ。
「聖輝君、行こうよ。皆んなでいた方が気がまぎれるしさぁ〜。」
治樹君が僕の側に来て腕を掴みブラブラと左右に振りながら言ってくる。
そんな僕達を見て悠真が治樹君の腕を掴み僕から引き離した。
「なんだよ。悠真。」
「聖輝が1人になりたいならそうしてやれよ。」
そう言ってそのまま治樹君を連れて部屋から出て行ってしまった。
「聖輝君も落ち着いたらお風呂においでよ。」
智哉君も2人の後を追って部屋から出て行ってしまった。
1人部屋に残った僕の目には涙が滲んでいた。
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