91 / 699
修学旅行 最終日 8
ゆっくりと僕の唇から蒼大の唇が離れるとまた強く抱きしめられていた。
身体がキシキシと音を立ている様なくらいに強く蒼大に抱きしめられる。
蒼大・・・・蒼大・・・・・・蒼大。
僕は蒼大にしがみついて声を上げて泣いた。
蒼大は僕が泣き止むまで優しく頭を撫でていてくれた。
「聖輝・・・ごめん・・・・・・ごめんな。」
「そ・・・蒼大・・・どうして謝るの?」
「聖輝が辛い思いしてたのに・・・俺は何も出来なかった。」
蒼大から逃げ出したのは僕なのに・・・。
「えっと・・・聖輝が落ち着いたんならこれ・・・。」
悠真が僕達の目の前にタオルを差し出してくれた。
「あっ・・・。」
どうしよう・・・悠真にもこんな姿見ら・・・・・・・・・。
身体がガタガタと震え出して上手く呼吸ができなくなって来た。
「聖輝。大丈夫だからゆっくりと息を吐いて・・・吸えるか?大丈夫だ。」
蒼大は僕の背中を優しく撫でてくれる。
蒼大の腕の中は暖かくて安心が出来る。
僕は蒼大を傷つけたのに今でも蒼大は優しく僕に触れてくれる。
こんな汚れた僕を綺麗だと言ってくれる。
「大丈夫か?聖輝。」
悠真が心配そうな顔をして僕に声を掛けてくる。
悠真もこんな姿を見てもいつもと変わらない優しく話しかけてくれる。
「ありがとう・・・悠真。」
「そのままだと風邪ひくしもうすぐしたら治樹が着替え持ってくるから聖輝。」
「うん。」
僕は蒼大から離れて起き上がろうとしたけど上手く力が入らない。
「じっとしてろ聖輝。嫌でも逃げるなよ。」
少しだけ強い口調で言われて僕の身体が強張りそれ以上動くこともできなかった。
蒼大はこんな後始末をさせる僕に怒っているんだ。
「ごめ・・・ん・・なさい。蒼大。」
「何?謝るの?ありがとうでいいんだよ聖輝。」
蒼大は綺麗に拭き取ると乱れた僕の服を整えたらもう一度強く抱きしめてくれた。
蒼大・・・・・・・。
蒼大に触れてもらえるのが嬉しくてまた泣いてしまった。
ともだちにシェアしよう!