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修学旅行 最終日 お互いの気持ち

蒼大の腕の中で僕はこんなにも蒼大が好きで涙が出そうになる。 「聖輝、好きだよ。」 「蒼大・・・・・・。」 僕も好きだよと言いたいけど言えない。 素直に好きだと言えば良いだけの話だ。 けれどやっぱり自分の気持ちとは関係なく好きでも無い男に抱かれたという事実が僕を素直にさせてはくれない。 「今度は聖輝を守らせてくれないか?」 「蒼大はこんな僕で良いの?汚れてるんだよ。」 他の男に抱かれて汚れた僕を本当に好きなの? 「聖輝は汚れてない。ずっと言ってるだろ?」 ずっと言ってくれている。 けれど僕の気持ちが追い付いていないんだ。 自分に身体が汚れて汚いと思ってるから綺麗だとか言われても素直に受け入れられない。 「ククッ・・・。」 蒼大が少しだけ笑った。 その後も笑いたいのを堪えているのが分かる。 「どうしたの?蒼大。」 「いや、聖輝と言い合いをしていた時の事を思い出したんだ。絶対に聖輝は引かなかったよな。」 「それは、蒼大がわからない事を言うからだよ。」 「そうか?聖輝もたまにわからない事を言ってただろ。」 「僕は言ってないよ。失礼だよ蒼大。」 「ごめんな。失礼だったか?」 謝りながらも棒読みな感じがするのは気のせいなんだろうか? 「なんだかその謝り方が気持ち入ってないから嫌だ。」 「俺はちゃんと謝ってるだろ?」 「それで謝ってるつもりなんだ。」 「そうだよ。悪いか聖輝。」 少しだけ拗ねた感じに話す蒼大が可愛く思えてくる。 懐かしいな、蒼大とよく他愛もない言い合いをしていたよなと少しだけ昔を懐かしんでいた。 「聖輝は変わってないよ。汚れてない。」 蒼大と僕の会話は僕が変わってないと思い出させようとしていたから? やっぱり蒼大には勝てないのかな? 僕の負けです蒼大。 「蒼大、僕は蒼大が好きだよ。」 そう言うと蒼大は僕の身体をキツく抱きしめてくれた。

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