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修学旅行 最終日 連絡先
お互いの気持ちは僕がいなくなる前と変わらなかった。
もしかしたら僕はそれ以上に蒼大が好きで大切だった。
あんなに酷い事をした僕を蒼大は好きでいてくれている。
「聖輝、そろそろ戻らないとダメだよな?」
「うん。」
僕は集合場所になっているお店の近くにあるベンチに座って蒼大と話をしていた。
蒼大の学校の生徒や僕の学校の生徒がチラチラ見ながら通り過ぎていくのがなんだか恥ずかしかった。
それに僕はジャージを着ているから特に目立っていた。
「あのさ、連絡先を知りたいんだ。」
僕は姿を消した日以降に親に頼んで携帯を新しくしてもらっていた。
「蒼大は変わってない?」
「うん。もしかしたら聖輝から連絡があるかもしれないとか思ってたからそのままだよ。」
「赤外線しよう。前の携帯壊してしまったんだ。」
「じゃあ赤外線しよう。」
2人で顔を見合わせて笑った。
蒼大は赤外線の後すぐに僕の携帯にメールをくれた。
【よろしくな聖輝】
僕は嬉しくて携帯を握りしめた。
「いつになるとか分かんないけど聖輝の住んでる所に遊びに行って良いか?」
「うん。大地さんに会わせたいから僕待ってるよ。」
きっと大地さんも美央さんも喜んでくれて蒼大を暖かく迎えてくれる。
「ケーキ屋なんだよな?俺さあの日約束してたシフォンケーキ持って行ったら恥ずかしいかな?」
「大丈夫だよ。僕食べてみたい。」
「今度こそ約束な。俺さ絶対に会いに行くから聖輝。待っていてくれよ。」
「うん。約束。」
蒼大と離れるのは寂しかったけどでも悲しい別れじゃない。
次も会える約束をして離れるんだ。
夢じゃないよね。
蒼大は僕の頭をクシャクシャとして集合場所に向かって歩いて行った。
【蒼大、大好き】
僕はメールを送信するとすぐに蒼大からの返信が来た。
【俺も聖輝が大好きだよ。】
目に涙が溜まり画面がぼやけて良く見えないけど蒼大とまた会えた事が嬉しくて涙が止まらなくなった。
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