131 / 699
あの灯台
大地さんの仕事の邪魔にならない様に僕と蒼大は厨房の隅でドライフルーツのカップケーキを教えて貰いながら作った。
出来たカップケーキを箱に入れて後は悠真と治樹君が来るのを待つばかりだ。
お昼は軽く済ませてくるって言ってたからきっとカップケーキ喜んでくれる。
美央さんにカップケーキを食べてもらいお世辞かもしれないけど美味しいと言って貰えた。
大地さんも味見してくれてダメな時はハッキリ言ってくれる。
今回は次作る時のアドレスを貰って良いんじゃないかと言って貰えたんだ。
不味くはないって事だよね。
「聖輝、2人が来たらどこに行くんだ?」
蒼大は膝に大輝を抱えて聞いてきた。
昨日から大輝が蒼大にベッタリで少し羨ましい気がする。
「聖輝?」
「あっ、えっとね。大地さんに出会った灯台に行くんだ。」
「大丈夫か?その灯台って聖輝が・・・・・。」
蒼大は言いかけて言葉を飲み込んだ。
僕が命を捨てようとした場所だから蒼大が心配をしているんだと思う。
「あの灯台は景色が凄く綺麗なんだよ。家族で旅行に来て楽しい思い出もある。悲しい事を思い出すかもしれないけど蒼大となら大丈夫だよ。」
「そっか、なら良い思い出を増やそうな聖輝。」
「うん。」
辛くて悲しい思い出があるけど蒼大とあの場所に行けばまた新しい思い出ができる。
それは楽しい思い出。
蒼大と居れば僕は嫌な事を忘れる事ができる。
ともだちにシェアしよう!