143 / 699

通行止め

「すみません。なんか火事みたいでココから先は通行止めみたいですね。」 運転手さんに言われて前の道を見ると遠くにたくさんの人やら消防車が見えていた。 「じゃあ、ココでいいです。」 僕達はタクシーを降りると蒼大は大輝を抱きかかえ後ろから来る悠真達を待った。 「鎮火した後かな?」 「方角的には店の方なんだけどココからなら店まで歩いて5分かな?」 道端に居る人達は見えるけど高いマンションとかがあるから詳しくはココからだと何処で火事が起きているか分からなかった。 「聖輝、火事みたいだな?」 「そうみたいだね悠真。お店の方向だから心配なんだよ。」 火事もだけどさっきから静かにしてる大輝が心配だ。 僕達を心配させない様に痛いのを我慢しているんじゃないかと考えてしまう。 「とにかく、大地さんと美央さんに大ちゃんの事を知らせないとダメだから俺達3人で先に行くよ。」 「ありがとう智哉君。」 3人はお店の方に急いで向かってくれた。 すると蒼大の肩に頭を付けていた大輝がいきなり顔を上げた。 「ゆうちゃん、はるちゃん、ともちゃんはパパとママのとこにいくの?」 「先に行ってお話するんだよ。」 蒼大が大輝の頭を撫でながら言い聞かせる様に話をしている。 「おはなしできないよ。」 「どうしてだ?」 「パパとママ、おうちにいないもん。」 大輝はそう言うとまた蒼大の肩に顔を埋めて大人しくなってしまった。 もしかして何処かに大地さんと美央さんが居て大輝が2人を見たのかな? それならパパとママと言う気もする。 どういう事? それは、お店に近づくにつれてハッキリと理解が出来た。

ともだちにシェアしよう!