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夜間診察

受付を済ませて待合室の椅子に座り僕と大輝は待っていた。 待つ間、大輝は蒼大から貰ったミニカーで遊んでいる。 「大輝、くまちゃんは僕が預かるよ。」 「くまちゃん?」 「背中に大輝と一緒にいるくまちゃん。」 「あっ、ぼくね。いぶちゃんになかみせる。」 「いいの?」 「うん。」 大輝はくまちゃんを背中から降ろすとお腹にあるファスナーを開ける。 中から1つずつ色んなものが出て来るのを見つめているとどれも大輝が大切にしている物だった。 いつもは持ち歩いたりしないのに大輝。 「あった。これいる?」 大輝が最後にくまちゃんから出してきたのは保険証だった。 「えっ?どうして持ってるの大輝。」 「いる?」 「うん。あ、ありがとう大輝。」 首を横にコテんとして不思議そうに聞いてくる大輝だったが僕の方が驚いていた。 大輝は保険証をどこから持ち出したの? 「これは、おはなしダメ。」 「ダメ?」 「あっ、これね。いぶちゃんのくまちゃん。」 大輝が差し出してきたのは僕が修学旅行でお土産に買ってきた小熊のミニタオルだった。 「大輝、今日はたくさん持ってきたね。」 「うん。いぶちゃんは?」 「僕?」 僕は蒼大を迎えに行くだけだったから財布と携帯電話しか持っていなかった。 「僕はお財布と携帯電話だけだよ。」 「そっか、いぶちゃんにこれかしてあげる。」 大輝が僕の手に渡してきたのは大地さんが誕生日にあげた小さいビニールのボールだった。 美央さんが平仮名で大輝の名前を書いて渡したんだよ。 僕はそれを受け取ると泣きそうになった。 「いぶちゃん。ボールすき?」 「う・・・うん。好きだよ大輝。」 僕は大輝を抱き寄せて抱きしめた。 診察が終わって大輝が病気じゃないと分かったらパパとママの所に一緒に行こう。

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