158 / 699
帰宅
今日は、あれから忙しくなって蒼大もすぐに会社に戻ってしまった。
少しだけ寂しい感じがしたけど帰ったら会えるからいいんだ。
新人の鈴ちゃんも飲み込みが早くて僕も圭もビックリしたんだ。
午後には1人でオーダーとか取れるまでになってくれたから忙しくてもお店を回す事が出来た。
今日も1日頑張った。
大輝は良い子にしてるかな?
蒼大のお母さんと仲良くしてくれてたら良いんだけどね。
買い物を終えて帰宅するとリビングで大輝と蒼大のお母さんとが楽しそうに話をしていた。
「あっ、いぶちゃん。おかえりなさい。」
「うん、ただいま。」
「おかえりなさい。聖輝君。」
「ただいまです。桜子さん。」
僕は蒼大のお母さんを桜子さんと呼んでいる。
大輝は最近桜お母さんと呼んでいるが僕はまだ呼べていない。
葬儀が終わり両親と大輝を僕が引き取る話をしている時に蒼大のご両親が申し出てくれた。
蒼大は、大地さんと美央さんに両親が交際を認めてくれた事をあの火事の日に報告するつもりでいたのだ。
僕と大輝を見ていて家族になりたいと言ってくださった蒼大のご両親には感謝しきれない。
家族にと言っても僕だけ籍には入れてない。
戸籍なんて関係無くて一緒に暮らしていたら家族になれると言ってくださったけど甘えたりしたくないと僕が言うと二世帯住宅にして生活をしたらどうかと提案をされた。
大輝を僕の籍に入れたかったが独り身では難しかったから結局甘える形になってしまっている。
「いぶちゃん。今日はハンバーグしてくれる約束だよ。」
「うん。材料は買ってきたから美味しいの作るよ。」
大輝は僕の腕を引っ張り嬉しそうに笑った。
「いいわね。大ちゃん。」
「うん。桜お母さんもハンバーグすき?」
「そうね。ハンバーグ好きよ。蒼大も小さい時はよくハンバーグと言っていたわね。」
懐かしそうに笑う桜子さん。
蒼大もハンバーグ好きだったんだ。
いつも僕が作るご飯は美味しいと食べてくれるから何が好きで何が嫌いか知らない。
今度、桜子さんに聞いてみようかな?
ともだちにシェアしよう!