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頭痛い

晩御飯は悠真の家の近くのファミレスで済ませた。 「ごめんな。治樹が居たら作って貰えるんだけど出張してて明日じゃないと戻らないんだ。」 「気にしないでよ。僕が勝手に来ちゃったんだ。泊めて貰えるだけでも有り難いよ。」 いきなり来て気持ちよく迎えてくれる悠真に僕は感謝している。 それに、蒼大の事も聞かないでいてくれる。 「はるちゃんには明日会える?」 「明日会えるよ。嬉しいか?大ちゃん。」 「うん!でも・・・・・そうちゃんは居ない。」 大輝は治樹君に会えると笑顔になったけど蒼大がいない事が悲しいのか大人しくなってしまった。 マンションに着いて車から降りようとする大輝がよろけて床に手を付いて座り込んだ。 「大輝!どうした?」 「いぶちゃん。頭痛い・・・・・グゥ・・・・・ゲホッゲホッ。」 大輝は床に食べた物を吐いてしまった。 額に手をやるとかなり熱くなっていた。 「悠真・・・大輝が・・・・・どうしよう。」 「良いから落ち着け!これで拭いてやって抱きかかえて後ろに乗れ!」 「う・・・・うん。」 僕は震える手で渡されたウェットティッシュで口周りを拭き取ると大輝を抱きかかえて後部座席に乗り込んだ。 僕が蒼大の事を考えていて大輝の様子がおかしい事に気が付かなかった。 大輝に何かあったらどうしよう。 苦しそうな息遣いで身体もだんだん熱くなってきている。 「い・・・ぶ・・・ちゃん。さ・・・・むいよ。」 「寒い?ちょっと待ってね。」 僕は着ていたジャケットを脱いで大輝の身体に被せた。 それでも寒いのかガタガタと身体を震えさせ丸くなり僕に抱きついてくる。 熱が上がるから寒いんだよね? 「悠真、大輝が寒いってどうしよう・・・・ごめんね大輝。ごめんね。」 「聖輝も落ち着けよ。大ちゃんが不安になるだろう?」 「うん。ありがとう悠真。」 そうだ。 僕がしっかりしなきゃダメなんだ。 ここには蒼大は居ないんだから・・・・・・・・。

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