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来てくれた

スーパーを出てしばらく歩いて信号待ちをしていると反対側の歩道に愛おしい人の姿が見えた。 向こうも僕に気づいたのか手を振って笑っている。 早く信号が青にならないかとソワソワした。 だってそこに居たのは蒼大。 どうして? 仕事があるから来れなかったんじゃないの? いっぱい聞きたい。 それに・・・・・・。 僕は悪い事を考えてしまい首を横にブンブンと振って悪い考えを吹き飛ばした。 目の前に蒼大が居るそれだけで良いじゃないかってね。 ピッポっと気づいたら音が鳴り始めて信号が青に変わった事を知らせた。 僕は信号機の青を確認して真っ直ぐ蒼大を見つめて一歩二歩三歩と踏み出し足早に横断歩道を渡り出した。 「聖輝!!!!!!!」 蒼大が慌て僕の名前を叫びながら怖い顔をして走ってくる。 僕は何か・・・・した?・・・・そう思った瞬間。 あれ? 空が見えるよ? あっ・・・視界がグニャッて・・・・あははっ・・・。 少しだけ痛いや・・・。 後ろ向きに転んじゃったのかな? それにしてもバナナの皮みたいなのとか落ちてたのかな? そんな事ある訳ないよ。 でも、早く起きないと・・・車が来ちゃうから・・・・・。 暗くて何も聞こえない。 夢? あまりにも蒼大に、会いたいから夢見ちゃってたんだね。 早く起きて大輝のお熱測らないとダメ・・・・・・・・なのにね・・・。 それからの僕の記憶は途絶えた。

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