ここ暫くイジメかと思うくらいに仕事が忙しい。 企画のデータ取りや集計。 新商品のモニターリング。 新商品は女性向けの香水だから女性社員にやらせれば良いのに、男性の意見も欲しいとかで俺より１年先輩の八木拓人（やぎたくと）さんと担当になった。 上は男性の人から街頭アンケートも取るとか言い出してくる。 俺は頭の中がグチャグチャになりそうなくらいに色々とやらされていて帰るのはいつも終電間際。 最悪終電もなくなる始末。 癒されるのは聖輝と大輝の寝顔を見る時だけだった。 俺は聖輝を起こさないようにゆっくりと自分の腕の中に収めて抱き締めると聖輝は顔をすり寄せてくる。 ごめんな・・・・・・。 今の仕事が終わればゆっくり出来ると思うから寂しいだろうけど我慢してくれ聖輝。 でも本当に寂しいのは俺の方かもしれない。 聖輝と会話をしない日々は高校生の時より辛くて近くに居るのに遠くに感じてしまう。 忙しい日々が続いたらいつか俺は聖輝に愛想を尽かされてしまうんだろうか？ 俺が弱いから大輝を盾に聖輝が絶対に離れられない様にしてしまったのだ。 ズルいよな・・・・・。 大輝は小さな時から見ていて俺も大好きで無理な話だが自分に子供が居たら大輝みたいな子供が欲しいとか思った事もある。 俺はあの時、両親に頼んで大輝を俺の弟にして貰った。 両親も俺が真剣だと理解したから２世帯住宅とかにリフォームしてくれて聖輝と大輝を迎え入れてくれた。 聖輝の人柄も良いからすぐに両親は気に入ってくれて俺よりも聖輝と大輝を可愛がっている。 大輝が俺の弟である限り聖輝は俺から離れられない。 勝手な思い込みだけど大地さんと美央さんの大切な大輝を置いて家を出ていくわけがないんだ。 でも大輝を連れて出て行くにも俺の両親の許可とかが全て必要になる。 だから聖輝は絶対に俺から離れられない。 大輝が成人するまでは俺のそばにいるはずだから・・・・・・。 俺って最低だな・・・・。 大輝にも聖輝にも酷い事をしてるよな・・・・・・・。 それでも俺は、もう２度と聖輝を手離したくないんだ。 この温もりを知ってしまったら失う恐怖の方が大きい。 お願いだから俺から離れないでくれ聖輝。