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愛おしい聖輝 side蒼大 3

悠真にホテルまで送ってもらい少しだけ寂しそうな顔をする聖輝。 なんか悠真に妬いてしまいそうだ。 俺は預けた荷物と部屋の鍵をもらいにフロントに向かった。 聖輝と大輝は近くの大きな柱の前で待ってるように言ったんだが聖輝をソファに座らせれば良かったと後悔した。 「いぶちゃん!!!!!」 背後から大輝の叫ぶ声が聞こえてくる。 振り返ると聖輝が床に倒れ込んでいて大輝が座り込んで泣き叫んでいた。 「聖輝!!!!!!」 荷物を待たずに俺は聖輝の側に駆け寄ると頭を怪我していないか確認をした。 大輝の話だとゆっくり座り込むように床に寝たみたいだから頭は打ってないと分かって少しだけ安心をした。 荷物を持って来てくれたホテルの人が救急車を呼んでくれてまた病院に逆戻りになった。 病院に着くと担当してくれた医師が夜間の当直で助かった。 骨折も大丈夫で頭にも異常がないと言われて目が覚めたら帰っても大丈夫と言われ俺と大輝は聖輝が目を覚ますのを待っていた。 「そうちゃん、いぶちゃんは大丈夫?」 「大丈夫だ。」 「うん。いぶちゃんには会わなかったから平気だよね。」 「会わなかった?」 「あっ・・・・・いぶちゃんが早く起きると良いなぁ〜。」 大輝はそう言って寝ている聖輝の側で俺の手をギュッと握りしめた。 聖輝が寝ていると目の前で車にひかれた日の事を思い出してしまう。 失う事の怖さを思い知らされるのは2回目だった。 1回目は高校生の時に、俺の目の前から消えたあの日だ。 2回目は交通事故。 聖輝・・・・・ずっと俺の側にいてくれよ。 俺の側で笑っていて聖輝。

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