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目覚め
前にもあった気がするけれど消毒液の匂いがする。
ゆっくりと目を開けると側には蒼大と大輝が僕を心配そうに見ている。
蒼大・・・えっ?・・・まって・・・・・ココどこ?
「そうちゃん、いぶちゃんがお目目覚ましたよ。」
「聖輝?具合はどうだ気分悪くないか?」
凄く優しい蒼大。
僕は目に涙が溜まり零れ落ちて泣いてしまっていた。
「足とか腕痛いか?先生呼ぼうか?」
足とか腕?
あっ・・・・・包帯でぐるぐる巻かれているんだけど何?
「あの・・・・・蒼大・・・僕に何があったの?」
「あっ、俺がホテルのフロントに預けた荷物と鍵を貰いに行ってたらイキナリ倒れたんだよ。」
「僕、ビックリしたんだよ。泣いちゃった。」
僕の顔を覗き込みながら大輝が泣きそうな顔になっている。
僕は動かせるほうの手で大輝の頬を触るとニッコリ笑って安心させようとした。
「ごめんね。大丈夫だから安心して泣かないで大輝。」
「うん。泣かない。」
「偉いね大輝。」
僕が頭を撫でてやると嬉しそうに笑う。
「大輝、お熱下がった?」
「お熱?僕ないよ。」
「そっか、元気になってよかった。」
凄く苦しそうにしていたから安心した。
この状態だとお墓参りにも行けてない・・・僕、スーパーに買い物に行ってその帰りに蒼大を見かけて嬉しくて・・・でも信号機が赤だから青になったのを確認して渡ったけれど・・・・・・・。
「蒼大、今日は何日?」
「今日?9月10日だ。」
9月10日・・・僕はいつから眠って・・・・・・ホテルのフロントに荷物と鍵を取りに行ってと言っていたよね。
ちょっと待って・・・・・・・・。
「蒼大、ホテルに宿泊するのは今日だよね?」
「目が覚めたら帰っても良いと言われてるからな今日はホテルに宿泊する。」
事故から後の記憶がないよ。
事故に遭った日から数週間で僕と蒼大は仲直りしたって事なのかな?
どうしよう分かんない思い出せない。
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