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誤解

「よく寝てる。」 「そうだな、聖輝は大丈夫か?」 「うん。さっき病院で寝てたみたいな感じだしね。」 僕はソファに腰掛けながら事故の日に仕事で来れないと言っていた蒼大がどうしてあの場所にいたのか気になっていた。 「聖輝・・・話があるんだけど良いかな?」 「うん。」 どうしてだろう・・・悪いほうへ考えてしまう。 事故に遭ったのが蒼大は自分が原因だと思っていて責任を感じて今日まで付き合っていてくれてるとしたら? 僕は別れようとか言われるのが怖かった。 別れようとか言われたら受け入れられるだろうか? 「これ、匂いを嗅いで欲しい。」 鞄から取り出した小さな瓶は薄いピンク色をしていて形は薔薇の花。 香水? 僕は瓶をとると匂いを嗅いでみる。 「この匂い・・・・・・・。」 「新商品のサンプルだけど8月の中旬に発売予定で進めていた。俺が初めて担当した商品なんだよ。それで不慣れでミスとかもたくさんあって・・・聖輝には仕事の話をして心配させたくなかったんだ。ごめん。」 じゃあ、毎日この香水の匂いがしていたのは新商品の企画でとかかな? 「毎日、この匂いがしてたよ。」 「モニターリングとかしていたからだ。不安にさせてごめん聖輝。」 不安・・・。 この匂いを嗅ぐと不安で仕方なくて毎日泣きそうになりながら生活をしていた。 泣きそう? 泣いていた時もあったんだ。 「僕は、蒼大が女の人の方が良くなったのかと思って・・・・・・・ヒクッ。」 真実が分かり僕は不安だった気持ちが無くなり安心したのか泣いてしまった。 蒼大は僕の横に座り頬を伝う涙に優しく唇を当ててくれた。 僕はまだ蒼大の隣にいて良いんだよね? 「ごめんな聖輝。けれど俺は聖輝以外考えれないからそれは分かって欲しい。」 「う・・・うん。ごめんね蒼大。僕も蒼大だけだよ。」 蒼大は僕を抱き寄せると優しく頭を撫でてれた。 誤解してごめんなさい。

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