222 / 699

夢じゃなかった

ベッドに潜り込み僕は蒼大の左手を握りしめた。 朝、目が覚めたら全部夢で隣には蒼大は居なくて大輝と2人でホテルに泊まっているんじゃないかと不安になった。 僕の記憶は、事故直後から失くなっているから余計に不安なのかもしれない。 「俺さ、目の前で聖輝が事故にあって目を覚ます間ずっと生きた心地がしなかった。」 「蒼大?」 「手術が終わるまでというか大輝が側に来るまで泣いてたんだ。泣いてる俺に大輝が言ったんだ。いぶちゃんは起きるから泣いてたらダメだって小さな大輝に言われた。」 あれ? 僕はそれ知ってるかもしれない。 どうして・・・・・夢見て・・・・・・あっ! それから映画かドラマを観ているように一瞬で事故直後の出来事が思い出されてくる。 「早く行って!起きなきゃだからねって大輝が叫ばなかった?」 「えっ?聖輝どうして知ってるんだ。悠真達から聞いたのか?」 夢じゃなかったんだね。 大輝は僕が見えていたし僕は手術中に泣いている蒼大の側から離れられなくて立って心配していたんだ。 秘密は大地さんと美央さんから言われてたのを守っていたからなんだ。 体験した僕でも信じれないから他の人は余計に信じないよね。 蒼大に言っても大丈夫かな? 大輝の秘密。 「大輝に怒られるかもしれないけど大輝の秘密を蒼大にも話すよ。」 「大輝の秘密?」 「大輝は僕達には見えていないものが見えるんだよ。事故直後に僕は悠真の家に居た。悠真達から僕は見えてないが大輝だけには見えてた。病院に行ったら蒼大は座り込んで泣いていたから心配で離れれなくて立っていたら大輝に怒られたんだ。」 「だから・・・大輝はいぶちゃんと話せなくて悲しいとか色々言ってたのか?あの時は何を言われていたか分からなくて混乱していたからだと思ったんだ。」 「僕は記憶が戻った時に夢も一緒に思い出したんだろうと思ったんだけど蒼大の話を聞いて夢じゃなかったと知ったんだ。」 それから僕と蒼大で話し合って決めた。 家に着いたら大輝と大輝の秘密の事を話して、これからは僕と蒼大が大地さんと美央さんの代わりに話を聞くから何かあったら話して欲しいと伝えようと決めた。 「俺達は家族だからお互いに支え合って生きて行こう聖輝。」 「うん。よろしくお願いします蒼大。」 「こちらこそ、寂しい思いさせてごめんな。これからもよろしくな聖輝。」 話をしなきゃ伝わらない事がある。 これからは何かあったら蒼大と話をする事にしようと決めたよ。 大切にしたいから失くしたくないから僕の宝物。

ともだちにシェアしよう!