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口説いてないよ
「それ口説いてるみたいだぞ聖輝。」
山根さんと入れ違いに入って来た圭に苦笑いされながら言われてしまった。
口説いてる?
「分かってないのかよ。」
「うん。ごめん。」
「可愛らしいとかさ気になってる奴に言われたら誤解するんじゃないのか?」
「前に可愛い妹みたいだって言った覚えあるけどそれ以来山根さんとは数回しかシフト入ってないから僕なんかを気になる事なんて無いと思うよ。」
そうだよ。
それに蒼大を見てドキドキしたと言っていたから僕より蒼大を好きになったりすると思うんだ。
「そう思ってるのは聖輝だけなんじゃないの?」
「僕なんかよりもっと素敵な男性はいるから圭の気のせいじゃない?」
「これ以上、俺からは言わないよ。それよりオーダーよろしくな聖輝のスイーツ楽しみに待っていた常連さんだから気合い入れてくれよ。」
「うん。」
嬉しい。
僕の作るスイーツを待っていてくれた常連さんに味が変わったとか落ちたとか言われない様に頑張らなきゃだ。
それから目まぐるしく忙しくて足が痛いとか気にもならないくらいに働いた。
休憩とか入れれば良かったと終業時に後悔をしてしまった。
「痛っ・・・どうしよう。」
本当にどうしよう。
少し休んでから帰ろうかとは思うんだけどでも買い物して晩御飯を作ってとしていたら足の痛みが治りそうにない様な気がしてきた。
「久しぶりだな嫁さんが居なかったらお前来ないからな薄情だよ。」
「嫁は居る?」
ロッカールームの外から圭と聞き覚えのある声が聞こえて来る。
嫁?
でもこの声は蒼大だよね。
ちょっと待ってよ僕の事を嫁とか呼んでるの恥ずかしいよ蒼大。
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