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バイトの女の子 side蒼大

聖輝が立てれないから抱き上げたはいいが両手が塞がってしまう。 背負うにしてもやはり両手が使えないから圭に車までついて来てもらえるか聞いてみよう。 「圭、悪いけど車まで付いて来てもらえるか?」 「オンブにしろお姫様抱っこにしろ手が塞がるからな蒼大。俺がドア開けるの手伝うよ。」 「悪いな圭。」 「蒼大の頼みだし聖輝も心配だから気にするなよ。」 俺の頼みだから・・・・・圭は聖輝にした過去の出来事で後ろめたい気持ちでいるんだと思う。 俺も聖輝も一応和解で解決しているつもりだがやはりわだかまりは残っているのかもしれない。 圭は黙って俺の後をついて来てくれている。 「中村副支配人。」 背後から女の子が圭を呼び止める声が聞こえて来た。 これはマズイところを見られたかもしれないと思い聖輝の横顔を見ると少し戸惑った様子だった。 きっといろんな事を考えているに違いないそんな聖輝に女の子が挨拶をしてくる。 「あっ・・・おっ・・・お疲れ様です。黒岡さん。」 「あはははっ・・・・お疲れ様です。山根さん。」 聖輝、声も身体も強張って俺の首に回していた手が震えていた。 それに耳まで真っ赤になっている。 「聖輝、恥ずかしいか?」 耳元で女の子に聞かれない様に聞いたつもりが感じてしまったのかビクッと身体が跳ねた。 俺の首に回す腕にかなりの力が入っているから聖輝はきっと怒ってるんだと思う。 マズイ事をしてしまったと後悔しても仕方ないから後で怒られますか・・・・・ごめんな聖輝。 「あの・・・・・。」 「山根さん、俺に用事かな?ちょっと聖輝を車まで運ぶの手伝ってくるからそれからでも良いかな?」 「はい。どうされたんですか?」 圭が女の子に説明をしてくれている。 足の事もだが俺達の関係がバレて働きづらくならないかと聖輝の事が心配だった。 圭の説明が上手かったのか女の子が純粋で優しい子だったのか分からないが納得してくれたみたいだ。 「ビックリさせてごめんね。また明日ね。山根さん。」 「はい。お大事になさって下さい。」 圭も俺をルームメイトとか言ってうまく誤魔化してくれたが聖輝の顔が少しだけ曇った気がした。 理解は出来ているんだろうがやはり大切な人と紹介したい気持ちもあるはずだ。 聖輝が? 違う俺が大切な人だと言いたいだけなんだ。 それを言えば聖輝が困るに違いないからやはり周りには知られない様にしないとダメだ。 圭が居てくれて助かった。

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