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運転中 side蒼大
俺は窓を開けて圭に礼を言うとゆっくりと車を走らせた。
明日からどうしたものかと考えながら車を走らせる。
聖輝は行きたがるに違いないしけれど毎日の様に俺は迎えに来てやれないから参った。
視線を感じると聖輝が不安そうに俺を見て来た。
頭ごなしに行くなとも言えないし普通に話をするところから始めよう。
「聖輝、足が痛むか?」
「今は座ってるから大丈夫。ごめんね蒼大。」
「明日は無理するなよ。」
座ってるからか・・・・くそっ!
絶対に行かせたくないが聖輝がカフェに行くのを楽しみにしていたのは知っているから明日は休めとか言えない。
「僕、明日もカフェに行って良いの?」
「今日みたいに無理はするなよ。周りに迷惑かかるかもしれないから痛くなる前に圭か修に話して休憩貰えよ。」
「うん。ありがとう蒼大。それと迎えに来てくれてありがとう。」
「今日は定時にしてもらったんだ。聖輝は頑張り屋さんだから心配で迎えに来て良かったよ。」
本当に迎えに来てよかったよ。
買い物して晩御飯作って俺が帰る前に大輝を風呂に入れてとか絶対に痛くても我慢してする。
頑張り屋で我慢強い聖輝が隣で嬉しそうに笑っているのが可愛くて俺は運転中にチラッと聖輝を見て少しだけ見惚れてしまった。
そして運転中に押し倒したくなったのは聖輝には秘密だ。
「明日は迎えに来れないかもしれないから本当に無理はするなよ聖輝。」
「うん。無理はしない。」
「それと病院から貰ってる痛み止め嫌がらずに晩御飯の後飲むように聖輝。」
「痛み止めの存在を忘れていた。我慢して飲むよ。」
赤信号になり車を停車させるとどうしても聖輝に触れたくて照れ笑いをしながら聖輝の頭をクシャクシャと撫でた。
ちょっと力入ったかな?
聖輝は頭を撫でると恥ずかしそうにして笑うんだよ可愛い。
「今日は俺が晩御飯を作るから聖輝は大輝と一緒にお風呂に入ってよ。」
「でも僕が晩御飯作るよ。」
「足痛いだろ?今日は甘えてろ聖輝。」
「うん・・・・・ありがとう蒼大。」
信号が青に変わってしまった。
残念。
もう少しだけ聖輝を見ていたかったが俺はゆっくり車を走らせ買い物をするからと家の近くにあるスーパーに立ち寄った。
俺が降りようとするとついて来ようとするから止めた。
少しだけ寂しそうに笑う聖輝の頬をムニッと摘むと恥ずかしそうに俺から目をそらした。
抵抗はしない訳だ。
「大人しく待ってろよ。柱の影であまり人が通らないからゆっくりしてろよ。」
「うん。気をつけてね。」
そう言って笑う聖輝の顔があの日の記憶を蘇らせる。
どうして思い出してしまったんだろう。
聖輝が俺の前から消える事なんてもう無いんだからあの日の事を思い出して不安になる必要は無いんだ。
そうだよな聖輝。
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