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予期せぬ出来事

それは予測出来なくて突然やって来る。 油断した僕が悪いんだ。 「黒岡さん、顔に何か付いてますよ。」 「えっ?すみません。」 「バックミラーで確認してわ?」 「はい。じゃあ、ちょっと失礼します。」 桧山さんは優しく微笑んでいる。 僕は頭を下げてバックミラーを見ようとしていると鈍い痛みが走ったと思うと視界が急に閉ざされてしまった。 閉ざされる前に何か聞こえた気がする。 『あきやっと帰ってきてくれたね。』 その声は不気味に耳に残っていて『あき』という人と僕が痛みを感じたのは何かあるのかな? 『聖輝、最近この辺りで行方不明になり遺体で発見されている事件が起こってるから気をつけろよ。』 『大丈夫だよ。暗い道とか歩かないよ。』 『なるべく人通りが多い所を選んで通勤や帰宅しろよ。』 蒼大は心配症なんだよ。 昔の嫌な記憶があるから暗くなると僕は人通りがある所を選んでいる。 『本当に大丈夫だから蒼大こそ気をつけてよね。』 『俺は最近、車での出勤だから聖輝よりは大丈夫だと思う。買い物とかも1人で行くなよ。』 『分かったから蒼大の言う事は守るよ。』 守るよって言った。 1人になる事を避けていたのに今日はどうして1人で車に残ってしまったんだろう? どうして視界が真っ暗になったのかな? 桧山さんと話をしていただけなのに、この痛みはどうして・・・・・・。

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