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行方不明 side蒼大
会計を済ませて急いで買い物袋に商品を入れると駐車場に向かった。
「この男性の人も遺体で見つかったみたいよ。」
「怖いわね。早く犯人捕まえて欲しいわよね。」
俺の母親と変わらないくらいの主婦2人が買い物を終えて掲示板の前で行方不明のビラを見ながら話し込んでいる。
確か3人目も同じ様に性的暴行を受けて窒息死だったか?
だから俺は聖輝が心配だった。
背格好やら容姿も聖輝に何処となく似ていたからだけど俺は嫌な胸騒ぎがして早足で駐車している車まで急いだ。
この胸騒ぎは高校の時に聖輝が居なくなったあの日に似ている。
車が見えてきたが助手席に居るはずの聖輝の姿が消えていて走って車に近づくと助手席のドアが不自然に開いていた。
どこに行った?
俺は慌て携帯電話を取り出して聖輝の携帯電話にかけてみると近くで着信音が鳴り出した。
俺は着信音を探しながら辺りを見回すと助手席の座席の下に携帯電話が落ちていた。
嘘・・・だろ?
よく見ると聖輝の鞄はそのまま後部座席に置いてあってドアを開けてトイレなどに行くとか考えられない状況だった。
少しパニックに陥っていて頭を抱えて色々とグルグル考えていると俺の携帯電話が鳴り出した。
ディスプレイをみると大輝の名前が表示されている。
落ち着け俺。
大輝にはまだ何も話さない様にいつもの様に携帯電話に出れば良いんだ。
いつもの様に・・・・・。
『蒼ちゃん。まだ帰れないの?』
「ごめん大輝。今買い物を終えたから・・・。」
すぐに帰るとは大輝には言えなくて言葉に詰まってしまった。
『ちょっと・・・うるさいの!今、蒼ちゃんとお話ししてるでしょう?』
「どうした?誰かいるのか?」
『ごめんね。蒼ちゃん早く帰って来てね。』
そう言うと大輝は通話を切ってしまった。
あの様子だと俺には見えない人と話をしているんだと思うけど怖がってはいなかったから大丈夫かな?
勝手に警察に連絡をするのも不味いよな・・・・・一度トイレなど見てからスーパーの人に相談しよう。
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