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見つかった side蒼大 5
俺と達哉さんは聖輝と連れ去った奴が来ても怪しまれないように世間話をし始めた。
すると中から大輝が言うように本当に人が出て来た。
1人は前を向いて隣にいる男性を支えるような感じで歩いている。
支えられている男性は下を向いて今にも倒れそうな足取りで歩いていた。
下を向かれていては聖輝かも分からない行方不明になった時に着ていた服とは違う。
もし聖輝じゃなかったら声を掛けて連れ去った奴らに気づかれたらまた聖輝が何処か遠くに行ってしまう気がした。
躊躇っていると誰かが2人に近づいて来る気配がした。
「あきちゃんだぁ〜。」
この声は大輝!?
離れた所で待っているように言ったのにいつの間にか大輝は支えられている男性に抱きついて嬉しそうに名前を呼んでいる。
あきちゃん?
大輝の知り合いだったのか?
けれど反応がないから大輝の勘違いで話しかけているのでは無いのかと思っていた。
「あきちゃんじゃ無くて、いぶきちゃんだよね?」
「お前誰からその名前聞いたんだ?」
側にいた男が大輝の言っている事に反応して大輝の肩を掴み名前の事を聞き出そうとしていた。
「航ちゃんが教えてくれたんだ。航ちゃんを知ってるでしょう?おじちゃん。」
航ちゃんと聞いて肩を掴んでいた手を離すと大輝から距離を取ろうと後ずさりをしていた。
いったいあきちゃんとか航ちゃんとか何を言っているのだろう?
それより大輝に危険な事をさせたくなかった。
なのに大輝は自分の意思で連れ去った奴かもしれない男性と話をし始めていた。
どれだけ危険かなんて大輝は考えていないんだと思う。
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