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助かったの? 6
声を殺して泣いていたのに気付くと僕の頬に暖かくて大きな手が添えられている。
「また、変な事を考えてないだろうな聖輝。」
「・・ふうっ・・・。」
「やっぱり考えてただろう?聖輝が戻って来てよかった。俺、聖輝に謝りたかった。聖輝を駐車場に1人残した事を後悔した。
ごめんな聖輝。」
僕は涙でボヤけてよく見えないが蒼大の声は泣いている様に聞こえた。
蒼大も傷ついたんだよね。
「・・気に・・・ヒクッ・・僕は・・・大丈夫だよ。」
「うん。ありがとう聖輝。」
「蒼大。」
蒼大は僕の額に蒼大の額を合わせて優しく頭を撫でてくれる。
僕はずっと諦めていた蒼大にまた触れてもらう事が出来ないと思っていたんだ。
蒼大に触れてもらえて僕は胸が締め付けられるほど嬉しくて涙が止まらなくなってしまった。
「聖輝。」
僕の名前を呼びながら軽く唇に触れるだけのキスを落としてくれる。
柔らかくて暖かくて優しい口付けは夢じゃないかと思いそうになり僕は蒼大の手をギュッと握りしめて現実だと確認をした。
「夢じゃない。俺に触れている聖輝は現実にここに居る。もう手放さないよ聖輝。」
「蒼大・・・僕は蒼大から離れないよ。」
蒼大は触れるだけのキスではなくて僕を求めるかの様にキツく唇に吸い付いてくる。
僕も蒼大に応えるように蒼大の舌を絡めとりお互いの熱が唇から伝わって来ていた。
2人だけの世界がそこに広がっていた。
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