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お邪魔ですか? side達哉 2

蒼大君のお母さんから病室は聞いていたからナースステーションにより名前を書くと聖輝君の病室へと向かった。 「いぶちゃんにあえるぅ〜いぶちゃんにあえるぅ〜。」 大輝君は聖輝君に会えるのが嬉しいのかさっきから自作の歌を歌いながら歩いていた。 だが聖輝君が目を覚ましていたら良いんだけどまだ眠ったままだったら大輝君はがっかりとしてしまうに違いない。 「ここだよ。大輝君。」 「本当だ!いぶちゃんのお名前が書いてある。」 大部屋かと思っていたんだが個室にしたんだ。 顔見知りだった奴に拉致監禁されて顔見知りでも無い人達と同じ部屋は怖いかもしれない。 「そうちゃん!お菓子買ってきたよ。」 ドアを開けて勢いよく大輝君は病室に入って行った後に俺はついて行ったんだが見てはダメなものを見たかもしれない。 蒼大君と聖輝君がキスをしていた。 一応、聞いてはいたが現実味がなくて曖昧な感じだったんだが目の当たりにしたら現実感が急に襲いかかってきた。 それに蒼大君の慌てぶりは半端無かった。 「いぶちゃん、起きたの?」 「えっ?起きたかな?大輝は1人で来たのか?」 かなり焦って蒼大君はパニックになっているのが分かる。 大輝君も2人がキスをしているのを見たはずなのに何も無かったかのようにしているから俺も見なかったことにした。 「大丈夫だよ。一緒に俺が着いて来たからそんな不安そうな顔をしない蒼大君。」 「達哉さん。ありがとうございます。」 「聖輝君の様子はどうかな?目を覚ました。」 「そうですね。さっき目を覚ましたんですけどまた寝たかな?」 聖輝君が布団の中から俺を見ている。 覚えていてくれたら良いけど何年も前に数回会っただけだから初めましてからの方が良いかな? でも俺と大輝君は2人の甘い時間の邪魔をしてしまったと思うと申し訳ない気持ちになった。

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