あのね。 いぶちゃんが見つかってからお家の周りが騒がしいんだ。 ほうどうじん？ 桜お母さんがそんな事を言っていた。 学校がお休みの朝とか夕方の番組で観るあの人達の事を【ほうどうじん】と言うんだね。 その人達が何人かお家の周りに居るんだよ。 そうちゃんには何を聞かれても分かりませんと言ったらいいと言われたんだ。 僕が家に入ろうとしたら何人かの人達に囲まれてしまったんだ。 「ここの家の子かな？」 「・・・・。」 分かりませんは変だよね。 僕が黙って下を向いてなんて答えたらいいかを考えているとそうちゃんとかよりも年上の男の人が僕の目の前にやって来た。 「喋れないのか？宮垣大輝君じゃないのかよ。」 「貴方、そんな聞き方したらこの子が怖がるじゃない。」 綺麗なお姉さんがそう言って男の人から僕を庇うように立ってくれたんだ。 「怖がる？そんな風には見えないけどな俺の思い過ごしか？」 男の人の言う通り僕はキツく言われても怖くなかった。 だってね。 この人達に見えない人達の方がもっと怖い事を言ったりするんだよ。