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その手を離して下さい side蒼大
今日は、早退をして聖輝の様子を大輝と一緒に観に行こうと思い学校から帰る頃までに帰宅をしようとしたが途中で渋滞に巻き込まれて少しだけ遅くなってしまった。
家が見えてくるとやはり報道陣の連中が家の周りに数人いた。
けれどなんだか様子がおかしい。
あれは、大輝!
男の奴に腕を掴まれて嫌がっているように見えるがその側で海君だったかな?
何か男の奴に叫んでいる様子だ。
俺は急いで車を家の前に止めるとドアを開けて車から出が一斉に俺の方へ報道陣の奴らがやって来た。
それでも大輝の腕を掴んだ男は離そうとはしない。
何か聞かれているが無言で俺は歩き大輝を掴んでいる腕を掴んで男を睨みつけた。
「そうちゃん。そうちゃん!海君がね。」
「大丈夫だから落ち着け大輝。」
俺は大輝の頭を優しく撫でると海君にも同じ様に大丈夫だからと言うと海君は俺の近くにやって来た。
「これは、宮垣蒼大さんですよね。ちょっと大輝君に話を聞いてたんですよ。」
「聞いていたんですか?なら大輝と海君が泣きそうになっていて大輝の腕を掴んだまま離さないのは何故ですか?」
「聞こうとしたら分からないとか言われて黒岡さんの居場所の住所詳しく書いたのは大輝君ですよね。」
ニタリと嫌な笑い方をするその男に苛立ちを感じたが大輝と海君が怖がる事はしたく無い。
俺は一呼吸した。
「大輝の腕を離してもらえますか?小さな子を泣かせてそれが大人のする事ですか?」
「じゃあ、代わりに答えてくださいよ。」
「分かりましたから大輝の腕を離してください。」
男は大輝の腕を離すとニタニタと笑う。
本当に周りに人が居なかったら俺はこの男を殴り飛ばしてたに違いない。
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