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まわり side蒼大

長い沈黙の中で女性が涙を拭いて凛と背筋を伸ばし俺と大輝に頭を下げた。 「すみません。大輝君の事は公表しません。ですが私達も取材をしている立場なので黒岡さんのご様子や今の心境をコメント頂けたらと思います。」 「それは・・・。」 他の報道関係者も女性が言った事に頷いている。 確かに大輝の事を世間には知られたくないのが本当の気持ちだ。 「そうちゃん?」 「大丈夫だから大輝は聖輝の事をお姉さをに話せるか?また聖輝に会えてどう思ったかとか?」 俺は大輝の目線までしゃがみ込んで言い聞かせる様に話すと不安そうにしていた大輝がパッと明るく笑った。 「僕、お話しできるよ。」 「まだ小学生なので大輝からは聖輝に会えてどう思ったかだけでも良いですか?俺はお答え出来る限り皆さんにはお話をします。」 「ありがとうございます。必ず大輝君の事は記事にはしません。」 俺はこの場にいる人達を信じて出来る限りの質問に答えていた。 泣き崩れていた鈴原も立ち上がると取材を受け始めていた。 それから30分話すと報道関係者が次々と帰り始めて最後に女性がもう一度深々と頭を下げて帰って行った。 何を話したかは正直に言えば覚えていなくて不味い内容は女性がフォローしてくれたしていたように思う。 「暗くなたな大輝。」 「せっかく海君と遊ぶ約束してたのに遊べなくなった。」 「また明日遊ぼうよ。大輝君。」 「そうだ。海君、一緒に聖輝に会いに行ってから夕ご飯を俺と大輝と一緒に食べないか?お家の人に連絡できるか?」 「いいの?行きたい!僕、お母さんに電話する。」 海君が寂しそうに見えたから誘ってみると嬉しそうな顔をして笑った。 きっと家に帰ってもまだご両親は帰宅していないはずだ。 共働きで帰りはいつも7時とか8時と母さんから聞いていたが小学生を1人で遅くまで家でお留守番をさせるのは心配だった。 聖輝がいた頃は大輝と一緒にご飯を食べたりしていたが最近はどうしていたのかと気にはなっていた。

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