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負けた気がする
大輝が泣き止もうとして居ると家の呼び出し音が聞こえて蒼大がモニター確認をしに向かった。
「海君が来たけど大輝どうする?」
大輝の涙は止まり目をこすりながら太陽のようにキラキラとした表情で笑っていた。
なんか複雑な気分だ。
僕達よりも海君が遊びに来た事で大輝の悲しみの表情が笑顔に変わるんだもん。
「いぶちゃん、海君と遊んで来ていい?」
「いいよ。あまり遅くならないようにね。それと暖かくして外に出る事。」
「うん。行ってきまぁ〜す。」
僕の腕の中から抜け出すと音符マークが見えそうなくらいに鼻歌を歌いながらリビングから出て行ってしまった。
「海君は大輝にとっての元気の源みたいな感じなのか?」
「僕もそれが知りたいよ。なんだか海君に負けた気がする。」
「寂しいか?海君に大輝が取られたみたいで聖輝?」
「ちょっとね。でも仲良くするお友達は大切だからこれで良いんだよね。」
僕は抱きしめていた手を見つめると後ろから暖かな温もりを感じた。
蒼大が僕を後ろから優しく抱きしめてくれていた。
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