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やめろ淳平
家に帰るとお節料理は完成していて酒のつまみなんかも用意されていた。
本当に聖輝は出来た嫁だよ。
最初は拓人先輩や淳平に恐怖みたいなのを感じているみたいだったが今は普通に話をしている。
少しずつでも他人と接する事が出来たらカフェにも復帰できるようになるはずだ。
今回は拓人先輩や淳平に会わせてよかったのかもしれないと喜んでいたんだ。
大輝が拓人先輩の膝の上で寝出したから俺は部屋に運ぶために淳平とリビングから出て行ったんだ。
ベッドに大輝を降ろして部屋を出た時に淳平に腕を掴まれた。
「何だ淳平。具合でも悪いか?」
「その・・・俺・・はぁはぁ・・・。」
「大丈夫か?吐きそうなのか?」
俺が下を向いている淳平を覗き込むように見るとイキナリ肩を掴まれて壁に押し当てられた。
一瞬何をされたか分からなかったが淳平の顔が俺に近づいて来るのが目に入った。
「ちょっ!淳平・・止めろ淳平!!」
「蒼大、好きなんだよ。」
「はあっ?おまっ、拓人先輩が好きじゃないのか?」
「拓人さんに蒼大の事が好きだから協力して欲しいとお願いしたんだ。」
油断した。
こんな事になるなんて思ってもいなかった。
大きな音や声を出せば下にいる聖輝に気づかれてしまうし大輝も目を覚ましてしまうかもしれない。
けれどこのままではダメだ。
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