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お手伝い 1
「晩御飯を作るから大輝もお手伝いしてくれる?」
「うん。する!いぶちゃんのお手伝いする!」
大輝は床に置いた買い物袋を見比べて自分が持てる方を持ってキッチンへと向かって歩き出した。
可愛い。
中身は軽いんだけれど量があるから小さな大輝が持つと少し重そうに見える。
明日の朝食に出すパンとか大輝の好きなお菓子や卵が入っている。
お買い物に行った時も何もいなくても自分が持てる軽い方を持ってくれるから本当に優しいよ大輝。
それには失敗があったからね。
あの時は可哀想だった。
無理に持つと言い張って僕は止めたけれど言う事を聞かなくて転んで中身をスーパーの床にばら撒いたんだよね。
ばら撒いただけなら良かったんだけどパックに入っていなかった魚が袋から出ちゃってたまたま通ろうとした人の足元に転がったものだから踏まれてダメしちゃったんだ。
それと踏んだ人にも謝られたりスーパーの人にも謝ったりと大変なことになった。
大輝はごめんなさいと謝って家に帰るまで黙ってたけれど家に入った途端に大泣きしちゃったんだ。
蒼大が帰宅していて慌てて玄関まで走って来たくらいの大泣きだった。
僕が事情を話すと蒼大は大輝を抱き上げてリビングに連れて行って何か話をしていた。
何を話したのか僕には秘密なんだよ。
けれどその後からは大輝は僕の言うことを聞いて無理な事はしなくなったんだ。
少ししてから大輝は蒼大との約束なんだと言うことだけは笑顔で教えてくれた。
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