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撮影 2

カフェラテを蒼大の前に置くと僕は隣に座り大輝が嬉しいそうに食べている姿を微笑んで見ていた。 ガシャッ! えっ? シャッター音が聞こえたんだけれど撮影はテラスからでそれから店内でスイーツの撮影と聞いたけれどテラスからシャッター音が聞こえて来るはずはない。 僕はシャッター音がする方を見ると門田さんが僕たちの方に向いてカメラを構えていた。 「えっ!門田さん。僕達を撮影したんですか?」 「あまりにも絵になるんですみません。雑誌には使わないので撮らせてもらえないかな?」 「でも・・。」 チラッと蒼大の方を見ると優しく笑いかけてくれている。 嫌じゃないみたい。 大輝はプリンに夢中だから話しかけても僕が嫌じゃないなら良いよって言いそうだ。 プロのカメラマンさんに写真なんて撮ってもらえる機会なんかないよね。 「本当に雑誌には使わないですか?」 「使わないです。このカメラはプライベートで使用してるやつなんで後で焼き回しします。」 「じゃあ、お願いしてもいいですか?」 「オーナーさんとかは記者の高梨(たかしな)と話をしてるからそれが終るまでお願いするよ。」 「はい。」 返事をするとシャッター音が連続で鳴り出した。 僕はどうしたらいいか分からなくて蒼大に助けを求めるように見ると蒼大は僕に気づいて僕じゃなく大輝に話しかけたのだ。 「美味しいか大輝。」 「うんうん。そうちゃんも食べる?」 「一口くれるか?」 「はいっ!」 家にいる時みたいに大輝は蒼大の目の前にプリンを乗せたスプーンを差し出した。 蒼大は口を開けてパクリと食べる。 「うん。美味しい!」 「うんうん。美味しいでしょ!」 2人が幸せそうに笑うから僕もつられて笑顔になってしまった。 普段と変わらない蒼大と大輝に僕は写真を撮られている事を忘れてしまっていた。

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