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撮影 5
そんな大人達の言い合いを静かに眺めていた大輝がポテポテと蒼大の隣まで行くと高梨さんの前に立ったのだ。
大輝!
体も強張りそれに怖さで声が出なくなっていた。
「いぶちゃんはそうちゃんのだからダメ!そうちゃんからいぶちゃんを取ったらダメだよ。」
へっ?
大輝は何を言ってるんだろう?
その場にいた皆んなが大輝を見つめて固まっていたがカメラマンの門田さんだけは写真を撮り続けていた。
そして最初に大輝に声を掛けたのは高梨さんだった。
「大輝くんだったかな?僕は宮垣さんから黒岡さんを取るとかはないよ。」
「ほんと?いぶちゃんはずっと一緒にいれるの?もう居なくならない?」
「ごめんね。ビックリさせちゃったかな?居なくならないから安心してくれるかな?」
「うん!」
高梨さんは大輝と同じ目線で話をしてそれから大輝が安心したと分かると優しく頭を撫でて微笑んだ。
蒼大が僕を1人にして拉致された時に大輝は側にいて蒼大が自分を責めている姿を見ていたから不安になったのかな?
また僕が居なくなると思ってしまったんだ。
もう僕はどこにも行かないよ。
ずっと2人のそばにいて笑って過ごしたいと願ってるんだよ大輝。
「すみません。小さなお子さんを不安にさせてしまいました。」
高梨さんは蒼大に向かって頭を深々と下げた。
悪い人じゃないと分かるけれど2人っきりで話すのはまだ無理だと思う。
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