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準備 3
「聖輝さん?」
「あっ、ごめん。ちょっと考え事しちゃってた。」
「いぶちゃん。目痛い?」
大輝が心配そうに僕を見上げて来る。
涙目になってるから目が痛いと思っているんだよね。
「大丈夫だよ。それより会計したら家に帰って試しに作りますか?」
「うん!僕もお手伝い。」
「本当に大輝君は優しくて良い子で可愛いですね。」
大輝を褒められると僕はすごく嬉しくなってしまう。
大地さんと美央さんに心配させないように僕も強く生きていかなきゃと改めて思える。
人混みを怖がってばかりはいられないから僕なりに頑張るんだ。
「あの拓人さんとお2人でいつでも遊びに来て下さい。良かったらですよ。大輝もお2人が来ると楽しそうなんです。」
「嬉しいです。僕も子供が好きなんでよろしくお願いします。」
「たっくんいつ来る?」
何故か拓人さんだけはたっくんと呼ぶ大輝。
何を拓人さんに感じてるんだろうと考えるのは僕の悪い癖でしょうか?
どことなく大きくなったら海君は拓人さんに似ているような気がするからでしょうか?
考えるのは止め!
「また今度来てもらおうね。」
「うん。たっくん!」
「すっかり拓人さんを気に入りましたね。」
苦笑いをしながら大輝を見ている淳平さんを見て心の中ですみませんと何故か謝っていた。
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