会計を済ませて売り場を離れようとした時に大輝を見ていて前を向いていなかった僕が悪いんだが人にぶつかってしまった。 「すみません。」 顔を見ずに頭を下げて立ち去ろうとすると肩を掴まれた。 「ヒィッ・・・。」 小さく声をあげると大輝が心配そうに僕を見上げ淳平さんも歩みを止めて僕の腕を掴み肩を掴んでる人から離そうとしてくれていた。 「黒岡聖輝くんだよね。北嶋駿だけど覚えていないかい？」 この優しい声は覚えている。 あの日逃げるようにしてみんなの前から居なくなった。 北嶋先輩にもずっと謝りたかったんだ。 顔を上げて北嶋先輩を見ると僕に向かって昔のまま優しく微笑んでいた。 昔と変わらない。 少しだけ大人の男性という感じに見える。 「パパ？」 「ごめんね。少しだけ待ってくれるかな？」 北嶋先輩の横には幼稚園くらいの男の子が手を繋がれている。 パパって言っていたからもしかして北嶋先輩のお子さん？ 目が大きくて子供のモデルみたいに顔が整ってどことなく北嶋先輩にも似ている。