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大切な存在
帰りの車内は大輝も治療で疲れたのか後部座席で横になり眠ってしまっていた。
僕も声が出ないから車内は静まり返っていて蒼大も運転に集中していた。
「聖輝、大丈夫か?」
赤信号で停車すると蒼大は膝の上に置いていた手を握り締めて僕の事を心配をしてくれている。
僕は大丈夫だと首を縦に振り笑った。
「俺は会社休めないから母さんに大輝を預けるよ。暫くは学校を休ませないとそう思ってる。」
『僕が朝なら大輝と病院に行けるから修にも相談する。』
そう書いて蒼大に見せると軽く頷いた。
「聖輝、頼むな大輝の事。」
弱々しくそう言うと蒼大は信号が青に変わったのに気付いて車を走らせた。
大輝の事は僕が責任を持って守らなきゃいけないのに僕の不甲斐なさに呆れてしまう。
でも蒼大に言うと聖輝だけが責任を持たなくて良いと言って怒られてしまいそうだ。
大輝は皆んなで守っていくと蒼大の実家で暮らす時に決めた事。
大地さんと美央さんの大切な大輝を僕は守れていない。
すみません。
それでも僕はお二人の大切な大輝を守らせて貰いたいです。
僕の命を救ってくれた僕にとって大切な存在。
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