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抱っこ嬉しいよ
病院から家に帰ると蒼大のご両親が大輝の帰りを待っていた。
お義父さんなんて寒いのに玄関の外で待っていてくれて車が停まると慌ただしく駆け寄って後部座席のドアを開けようとしたけどロックしてあったからガシャガシャしてドアを叩くもんだから寝ていた大輝は目を覚ましてしまった。
「親父、落ち着いてくれよ。大輝を抱えるとか言わないでくれよ。」
「抱えるつもりだが何が悪い。」
「落とされたら困るんだ。大輝も成長してんだ。」
「私だって、大輝を抱えるくらい出来る!」
「分かったから、聖輝にそばにいて貰ってくれよ。」
窓越しにする親子の会話をなんだか良いなと思いながら眺めていると僕の名前が出て来てビックリした。
「聖輝、親父が落とさない様に見ていてくれないか?」
僕はコクリと頷いて助手席から降りるとお義父さんの側に行って頭を軽く下げた。
「頼むね。聖輝君。」
「抱っこ嬉しい!」
「そっか!大輝は私の抱っこが嬉しいか?」
「うん!」
まだ眠たいのか目をこすりながらフニャッと笑うとお義父さんの首に腕を回した。
ヨイショッ!
そんな掛け声が聞こえてきそうなくらいに重たい物を持っている感じに見える。
蒼大はヒョイッという感じで大輝を抱き上げちゃうからこんなに重くなってるなんて思いもしなかった。
僕ももしかしたらお義父さんみたいにヨイショッという感じになるのだろうか?
なんとかお義父さんは玄関まで大輝を運ぶと床に大輝を降ろして腰をトントンと叩いていた。
やっぱり無理したのかなお義父さん。
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