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カウンセリング 2
先生と話をしていると大輝が不思議そうに僕と先生の顔を交互に見ている。
「大輝君は何か気になるのかな?」
「先生といぶちゃんは仲良しなの?そうちゃんはいぶちゃんの言ってる事が分かるんだよ。僕は仲良しだけど分かんない。そうちゃんはいぶちゃんを好きだから分かるんだよって教えてくれた。先生もいぶちゃんを好きなの?」
「えっと・・先生は口の動きを見て何を言ってるのかが分かるんだよ。とっても最初は難しいけどね。」
「そうなの?先生はすごいね。」
僕は先生と大輝の会話を聞きながら下を向いて顔を真っ赤にしていた。
蒼大が僕を好きとか先生に話して大丈夫なんだろうか?
大輝の口を塞ぎたいけど怪我をしているから強引なことは出来ないし止めるにも声が出ないから止めれない。
蒼大は必要なら付き合っている事を話しても良いと言ってくれたがまさか大輝に好きとか言われてしまうなんて思わなかったよ。
「僕ね。早くいぶちゃんとお話をしたいから僕も練習する!」
「そうだね。最初は簡単な言葉から始めてみたら良いと思うよ。答え合わせは書いて貰ってクイズみたいにしたら楽しいかもね。」
「うん!ありがとう先生。」
大輝は嬉しそうに目を輝かせて僕を見ている。
「ここで聞いた事や話した事は誰にも言いませんから安心して下さい。黒岡さん。」
『ありがとうございます。蒼大に付き合ってる事を話しても良いと言われました。理解されないかもしれませんが僕は蒼大が好きなんです。』
「偏見はありませんよ。安心して下さい。」
先生は優しく笑うとウンウンと頷いて何かを考えている様子だった。
きっと先生には分かっていたのかもしれない前にそんな風に蒼大が説明していた気もするがハッキリとは僕と蒼大の関係を伝えていなかった。
宮垣さんとの事はこれから先のカウンセリングで話をしましょうと言われそれから僕の声が出ない原因も分かってくるかもしれませんねと言われた。
早く声が出るように僕も自分と向き合うよ。
僕は次のカウンセリングの予約をして大輝と診察室を出た。
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