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ホワイトデー 6

「大輝、ありがとう。いつも僕のそばに居てくれて大好きだよ。」 「うんうん。僕もいぶちゃんとお話しできるの嬉しい。僕も僕もね、いぶちゃんが大好きだよ。」 たくさん話がしたいのに胸が一杯で話ができない。 声が出るのに凄く嬉しいのに言葉よりも目から涙が溢れ出てくる。 「良かったな聖輝君の声が出るようになって蒼大。」 「はい。拓人さん。」 「なんだ?蒼大泣いてんのかよ。」 「うるさいぞ淳平。本当に・・・うるさい。」 僕は抱きしめていた大輝と顔を見合わせて俯いて淳平君に悪態をついている蒼大に気付かれないように近づいて両側から抱きしめた。 蒼大はビックリして顔を上げると目を赤くして泣いている顔がそこにあった。 「泣かないで蒼大。心配させてごめんね。」 「そうちゃん、もう泣かないよね。」 蒼大は僕と大輝の背中に腕を回してグッと引き寄せると柔らかな表情で笑った。 「そうだな、もう泣かない。聖輝、大輝ありがとう。」 「「うん!」」 僕と大輝がハモるみたいに返事をしたのがなんだか笑えて来て蒼大の腕の中で3人してクスクスと笑った。

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