534 / 699
ホワイトデー 13
どこに向かってるとか言わない蒼大だけど目的地の駐車場に着いたみたいで車を駐車した。
「どこ?」
「まだ秘密。渡したい物があるから取りに来たんだ。少し待って・・いや一緒に来てくれるか?」
「うん。」
きっと待っててと言えなかったのは、あの時を思い出したんだとすぐに分かった。
もう1人にしないと蒼大は言っていた。
僕は車を降りて蒼大の一歩跡を歩いて着いて行くとガラス張りのお店の前に立った。
「ここだ。」
「ここ?」
裏路地でひっそりと営業しているジュエリーショップだ。
渡したいものって何だろう?
「いらっしゃいませ。宮垣様。」
「出来てますか?」
「はい。そちらがパートナーの方ですか?」
「はい。」
僕らよりは少し歳上の綺麗な女性の店員さんと親しげに話している。
パートナー?
「こちらでお待ち下さい。」
案内されたのは店の奥にあるソファで座ると置いてある植物に隠れる様な感じになる。
店内にはもう1人に長身で先程の店員さんと同じ様な歳の男性が1人居るだけの小さなお店だった。
僕はキョロキョロしながら周りを見ていると蒼大が優しく頭をポンポンとしてくれた。
「あまりキョロキョロするな聖輝。」
「ごめん。」
謝るとニッコリと微笑んで僕の手に指を絡めてギュッと握りしめてくれた。
えっ?
いくら人から見えないと言ってもさっきの店員さんが戻って来たらビックリしちゃうよ。
ともだちにシェアしよう!