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ベンチ
昼過ぎの公園は小さな子供が遊んでいてお母さん達が話をしている。
まだ少し寒いけれど太陽の陽射しで日陰よりはポカポカとしていた。
無言で男2人がベンチに座り走り回る子供達を見ては微笑んでいる光景は少し怪しいかもしれない。
「聖輝。」
蒼大が僕の名前を呼びながら指を絡ませて手を握って来た。
周りにはお母さん達が居るのに距離からしたら手を繋いでいると分かると思うんだけど僕は握られてる手を離したくなくて何も言わなかった。
「俺はここで聞いて欲しいことがあるんだ。」
「何?」
僕の方を真っ直ぐに見つめていつもよりも男らしい顔つきをしている。
何か決心した時の顔付きに見えた。
「将来、宮垣聖輝になって欲しい。」
「えっ?」
「今すぐとかじゃなくて聖輝も考える時間がいると思う。一応2人の両親には許可を貰ってる。後は聖輝の返事待ちになる。」
宮垣の姓を名乗るってことは養子縁組をするって事で・・・蒼大とは兄弟になる。
大輝とも兄弟。
苗字が同じになるのは嬉しい。
戸籍が兄弟扱いになるのが複雑に思えてでも蒼大と同じ宮垣と名乗りたい。
それに互いの両親も許可をしてくれているんだ。
迷う事なんていんだ!
「宮垣聖輝になりたい。」
僕は真っ直ぐに蒼大の目を見て言った。
そう僕は宮垣聖輝になりたいんだ。
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