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坂田の本気
友人の発言から生まれた坂田との際どい関係は、予想以上に長く続いた。
言葉を交わすよりも、まず過剰なスキンシップでコミュニケーションを図った二人は、急速に距離を縮めていき、四六時中一緒にいるのが当たり前になる。
まるで昔からの知己であるように、ノリも完璧に合う坂田と以前から関わろうとしなかったことが悔やまれる程だった。
不知火が危惧していたように、坂田もいじめっ子気質なところがあるが、そこも反発が生まれるどころか、互いにいじくり合えて寧ろ楽しく思える。
「坂田ぁ~、じゃなかった。時夜ちゃ~ん、抱っこしてぇ」
「何だよ、抱いてほしいって?」
「ぶはっ、時夜ちゃんが抱かれるの間違いでしょ」
「笑わせるな、お前に俺が組伏せられるわけないだろ」
「言ったね。俺、武道の経験あるから見た目に騙されて、後で泣いても知らないよ?」
「望むところだ」
等のやり取りは日常茶飯事だ。もはやギャラリーがいるいないに関わらずその軽口を叩くようになった頃には、噂は尾ひれをついて伝わり、もしやあの二人はできているのではということを言われ始めていた。
時折、坂田はこういう状況は不本意ではないだろうかと思ったが、そういったことを言ってくることもない。それどころか、お触りがこのところやけに熱が入ってきているような気がするのは気のせいではないだろう。
そして不知火も、それに乗せられるようにしてやり返すものだから、単なる冗談では済まなくなってきている。
最初に仕掛けられたのは、誰もいない屋上だった。
昼食後、程よい日差しと満腹感で眠気を誘われ、半ば夢見心地で坂田にもたれ掛かっていると、肩に置かれていた坂田の手がスライドしていき、不穏な動きを見せた。
くすぐったさに笑いかけたところで、腰をなぞっていた指先が、ベルトからシャツを抜き取って直に触れてくる。そしてそのまま、感触を確かめるように辿っていくと、尾てい骨を刺激した。
敢えて坂田のしたいようにさせていると、そのまま行為はエスカレートし、ベルトを外しにかかると、イチモツに触れてくる。
面白い玩具を見付けた子どものように、それを嬉々として弄び始めた坂田の油断している隙をついて、大袈裟に喘いで見せながらぐっと頭を引き寄せると、耳朶に舌先を忍ばせた。
「っ……おい」
身を捩って逃れようとする坂田の頭を抱き込み、そのまま音を立てながら耳をなぶると、背中を震わせる。
「おや、耳は性感帯?」
「うるせぇ、喋んな……っん」
「喘いでる、可愛い~」
「くそっ」
からかうと、坂田は舌打ちをして、不知火の体をいきなり持ち上げる。何をするのかと思えば、シャツの上から不知火の胸元にかじりついた。
「痛っ、そんなとこ舐めても別に気持ちよくないって」
「そうか?固くなってきたけどな」
シャツを捲り上げて、胸の尖りを指で押されながら指摘してくる。
「俺のそこは、気持ち良くなくてもちょっと触っただけで簡単に固くなるの」
「ふうん」
つまらなそうに相槌を打つと、今度は双臀を掴んできた。当然、後ろは使ったことがないので、触られても妙な感じがするだけだ。
「そっちより前の方がいいんだけどなあ」
坂田は不知火のぼやきを無視して、ズボンをずり下ろすと、後ろの孔をつついた。
「こっちは使ったことあるのか」
「あるわけないじゃん。いくらお前相手でも、突っ込まれるのより突っ込む方がいいに決まってる」
不知火の答えを聞くと、坂田は後ろをつつくのを止め、希望通りに前に触れてくる。
同じ男だからか、いい部分をピンポイントで扱かれた。お返しとばかりに坂田のでかい竿を取り出すと、その大きさに呆れるやら感心するやらしながら触ってみると、びくりといい反応を返す。
そのまま扱き合いに集中していると、不意に坂田が訊いてきた。
「男とやったことは」
「何?そんなに俺のこと知りたいの?まさか俺に惚れちゃった?」
「茶化すな」
「はいはい、ないよ。女となら人並みにあるけど」
「本当か」
何故か嬉しそうにする坂田。それをからかいたくなって、ついつい口にした。
「やっぱり俺に惚れちゃったんでしょ。一発やってみたくなった?」
坂田の動きがぴたりと止まる。
「なんて、冗談ーー」
笑いながら軽く流そうとすると、坂田が真顔で言った。
「やらせてくれるのか」
「は?」
「お前がいいなら。いい加減お預け食らわせられるのも我慢ならない」
「えっと?まさか本気?」
「これが冗談に見えるか?」
坂田が示した先を見下ろすと、不知火に扱き上げられたブツが猛々しく張り詰めているのが目に入った。
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