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devil 6
「あ、やめ、リチャード……」
欲望に忠実な悪魔・リチャードは、巧みにリアム王子の弱点をつき、その体を貪りました。リチャードの舌先や唇が触れるたび、体が火のついたように熱くなります。
醜い姿をしているのに、それが気にならなくなるほど、否、それさえも魅力として見えてくるほどです。
リチャードがリアム王子の雄に触れ、亀甲を親指で弄びつつ、長い舌先を伸ばしかけました。
もう少しで裏筋を舐めあげられる、という羞恥と期待の入り交じったものを呑み込んだ時です。
リチャードが不意に顔をあげて、
「そうそう、言い忘れたのだが、俺と寝るのは覚悟しておいた方がいい」
「なん、だよそれは」
焦らされて王子が睨み付けると、リチャードは口を弓なりに曲げて笑いました。
「一度でも俺と体を重ねると、みんな俺なしではいられなくなるからな。そういう力が、俺にはある」
「今さら言うのは卑怯だ……っあ……」
「なんとでも。俺は悪魔だ。簡単に出し抜けると思ったら大間違いだな。それとも……」
リチャードが手の動きを再開し、絶妙の強さで緩急をつけると、裏筋から亀頭まで一舐めしてしまいます。それだけでも、リアム王子の背筋は悦びで震えました。
それを見下ろしながら、リチャードは楽しそうに喉をならし、
「途中でやめてしまいますかな?王子様」
リアム王子は悔しげにしつつも、中途半端に放置された己の様子を見て、吐き捨てるように言い返します。
「やめないよ、ばらされたら困るからな。だけど男相手は初めてなんだ、せめて姿をもっとましなものに変えてくれないか」
本当はとっくに、リチャードの容姿などどうでもよくなりかけていたのですが、また気にならないとは限りません。萎えてしまって無理矢理犯されるのだけは避けたかったのです。
「それならば、ローズ姫にでも……」
「それだけはやめてくれ」
ローズ姫の幻と、それも中身がこの悪魔とやってしまうなど、冒涜のようなものです。即座にやめさせると、リチャードは笑いながら立ちあがり、目を閉じました。
その姿が発光し出したのを目にして、それが悪魔にしては神聖なオーラを纏っているように感じられます。どこか温かみのある光の中で、見る間にリチャードの姿が変容していきました。
それを息を呑んで眺めていますと、あっという間に様変わりしたリチャードの声が降ってきます。
「これはどうです、王子様」
そこには、リアム王子とは系統が違いますが、負けず劣らず男らしく精悍な姿のものが、にっこりと微笑んで立っていました。
リアム王子は思わず見惚れてしまいそうになりながら、そんな自分を叱咤し、
「上出来だ」
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