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devil 8
リチャードと体の関係ができてから、一月ぐらい経った頃でしょうか。リアム王子の父が、再び例の縁談の話を持ち出してきました。
敵国の王は気が長い方ではなく、しびれを切らして攻めてこられたら我が国は終わりだ、と弱り果てた顔で言います。
それに対して、リアム王子は、
「僕には策があります。安心してください。たちまち、敵国を黙らせてみせましょう」
と、何やら悪巧みを企てている顔で返しました。父親はリアム王子を信じて待つことにしたようです。
それからまもなくして、リアム王子の父が心配した通り、敵国が攻めてきました。
しかし、戦いが起こってすぐに、敵の兵は突然苦しみだし、次々に原因不明の死を迎えていくのです。
その有り様を目にして、戦いに赴いた兵士はさすがに不審に思ったのですが、リアム王子の国の民は皆手放しで喜びました。
そして、「神が我々に味方したのだ」と信じていました。
リアム王子の国は、それからますます栄えていくことになります。
ローズ姫の国とも肩を並べられるようになり、障害なく姫と結婚できるようになったのですが、リアム王子は新たな悩みを抱えていました。
それは、ローズ姫と接近しようとすると、いつもリチャードのことが頭の片隅にあり、邪魔してくることでした。
彼女と楽しく会話をしていると、視線を感じて振り向くのですが、誰もいません。
ある時は、ローズ姫と薔薇園で戯れてかくれんぼのような子供の遊びをしていると、不意に背後の茂みから伸びてきた腕に体を抱き込まれました。
驚いて一瞬動きを止めた間に、その主はあっという間にリアム王子の唇を奪い、甘美で濃厚なキスを仕掛けられます。
「ん……リチャード、お前、んぅ」
それは案の定、リチャード以外の何者でもありません。そのうえ醜い従者の姿ではなく、あの初めて体を重ねた晩の、綺麗な男の姿でした。
「やめ、ローズ姫に見つかる……」
さっと辺りを見回して、リチャードの腕から逃れようともがいたのですが、無駄でした。素早い動きで前を寛げられ、雄を握られていたのです。
「静かにしないと、見つかりますよ?」
その言葉に青くなりながらも、リチャードの手馴れたやり方に早くも息を乱していると、ローズ姫の声がしてきました。
「リアム王子?どこなの?もう、貴方の庭だから、貴方には簡単でしょうけど、私には難しいわ」
「ひ、んぅ……」
リチャードが何のつもりか分かりませんが、わざとらしく彼女に聞こえかねないタイミングで、手の動きを早くします。そのせいか、高い声が漏れかけてしまうのですが、リチャードが絶妙なキスを仕掛けて口を塞ぎました。間一髪です。
「もう、リアム王子、私は先に城に戻るわよ」
そうして、なんとか気づかれずにローズ姫が遠ざかると、リアム王子はほっと息をつきました。
しかし、安堵するのは早かったようで、リチャードの固いものを感じるとびくりと体を震わせ、
「リチャード、待て。こんなところ、誰かに見られ……っあ、」
リアム王子が制止するのも聞かず、リチャードにしては性急に腰を進められ、中を突かれていました。
「あ、やだ、おいリチャードっん、ああっ」
リアム王子が早々に達してしまうと、リチャードのものを中で締め上げてしまい、どろりとした液体が溢れ、股を伝っていました。
「早いですね、溜まってたんですか?」
耳たぶを舐めるリチャードの声も、欲にまみれて官能的です。
「お前もな」
こうなっては仕方がないと、諦めて受け入れる体を保ちながら、リアム王子は強気に笑って見せます。
そうして結局は合意の上で、繰り返し体を重ねていったのですが、確実にリチャードに溺れていくのを認めざるを得ませんでした。
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