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明里は学校から徒歩で15分のアパートに一人で暮らしている。
中学までは父親と血の繋がりがない母親と腹違いの姉と4人で暮らしていた。
明里の本当の母親は病気で亡くなったと後に聞かされた。
母は明里のことを嫌っていた。
唯一の肉親である父は明里を庇うわけでも無くただ黙って見ていた。
両親が褒めてくれたことなんて一度もなかった。
だけど姉だけが明里を本当の弟のように思ってくれていた。
姉は明里を助けるためにバイトして明里が一人暮らしできるようにお金を貯めてくれていて、今の生活ができたので姉には感謝しかない。
明里にとっての家族は姉だけだった。
明里の過去のことは小谷を含め学校の友人は
誰も知らない。
過去を振り返って少し感傷的になる。
( 今はとにかくバイトと勉強を頑張って姉ちゃんに恩返ししないとな... )
そう思いながら軽くご飯を食べてから、
コンビニのバイトに出かけた。
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明里が働いているコンビニは
住んでいるアパートから徒歩で5分のところにある。
コンビニの店長である、
川田 要 ( かわた かなめ )に挨拶をして制服に着替える。
川田は、現在54歳で女と酒が大好きで、
生涯独身主義を掲げている。
明里の家庭事情が複雑なことを知っていて、明里のことを息子のように気遣ってくれている。
『 今日も相変わらず美人だなあ……お前は。』
事務所にある椅子に座っている川田がこちらを向いて笑った。
『 やめてください。おれは美人じゃないし、そういうのは女性に言ってください。』
明里は少しムッとした顔で答えた。
『 いやいやお前は女より綺麗だと思うけど?
おれが軟派なやつみたいに言うなよ〜』
川田はヘラヘラと笑いながら言った。
『 実際そうでしょう。仕事に入るんで。』
おれは事務所を出て、その日もいつものように業務をこなした。
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