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龍司は腕を組みながら言った。
『 まだ正式になったわけではないが、
父親が引退したら俺が会社を継ぐことになっている。
だからお前が言うような社長ではない。』
『 へ〜。でもすごい人なんだな。
顔もすごい綺麗だし、
目が青いのはハーフとかだから?』
明里はさっきまでの怒りを忘れて、
気づけば2人はふつうに会話をしていた。
『 ハーフではない。
祖母がイギリス人でクウォーターだ。
……それは俺を口説いているのか?
お前くらいの美人なら遊んでやってもいいぞ。』
( はあ!?おれが褒めてんのになに変なこと言ってんだこいつ!
おれが男だってことわかってないのか?
さっきから上からなのもムカつく!)
『 は?何言ってんの?おれは男だし口説いてなんかない!
さっきからずっと上からだし、おれは怒ってるんだからな!』
明里はさっきの怒りが再熱してしまっていた。
反対に、龍司は心底面白そうな顔で明里を見つめていた。
『あれ?何してんの?部屋行ってなかったの?』
声のした方を振り向くと、小谷が立っていた。
小谷は明里の目の前にいる人物を見ると、
驚いた顔をして言った。
『 龍司さん。ここで何してるんすか?親父が探してたっすよ。
なんで明里と?』
龍司の顔は真面目な顔に戻っていた。
『 お手洗いに行っていただけだ。
そしたら面白いモノを見つけたから遊んでやっていたんだ。
すまない。すぐ戻る。』
『 おい!面白いモノっておれのことかよ! 』
『 そうだ。自分のこととわかるとはなかなか頭がいいんじゃないか。』
『 むっかつくな!早く行けよ!もう帰ってくんな!』
明里がそう言うと龍司の片方の口をあげて笑うと、
小谷が歩いて来た廊下を歩いて行った。
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