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7 龍司は腕を組みながら言った。 『 まだ正式になったわけではないが、 父親が引退したら俺が会社を継ぐことになっている。 だからお前が言うような社長ではない。』 『 へ〜。でもすごい人なんだな。 顔もすごい綺麗だし、 目が青いのはハーフとかだから?』 明里はさっきまでの怒りを忘れて、 気づけば2人はふつうに会話をしていた。 『 ハーフではない。 祖母がイギリス人でクウォーターだ。 ……それは俺を口説いているのか? お前くらいの美人なら遊んでやってもいいぞ。』 ( はあ!?おれが褒めてんのになに変なこと言ってんだこいつ! おれが男だってことわかってないのか? さっきから上からなのもムカつく!) 『 は?何言ってんの?おれは男だし口説いてなんかない! さっきからずっと上からだし、おれは怒ってるんだからな!』 明里はさっきの怒りが再熱してしまっていた。 反対に、龍司は心底面白そうな顔で明里を見つめていた。 『あれ?何してんの?部屋行ってなかったの?』 声のした方を振り向くと、小谷が立っていた。 小谷は明里の目の前にいる人物を見ると、 驚いた顔をして言った。 『 龍司さん。ここで何してるんすか?親父が探してたっすよ。 なんで明里と?』 龍司の顔は真面目な顔に戻っていた。 『 お手洗いに行っていただけだ。 そしたら面白いモノを見つけたから遊んでやっていたんだ。 すまない。すぐ戻る。』 『 おい!面白いモノっておれのことかよ! 』 『 そうだ。自分のこととわかるとはなかなか頭がいいんじゃないか。』 『 むっかつくな!早く行けよ!もう帰ってくんな!』 明里がそう言うと龍司の片方の口をあげて笑うと、 小谷が歩いて来た廊下を歩いて行った。

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